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結婚式で使うのは列席か参列か?意外に難しい言葉の使い分け

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「友人に結婚式に来てもらう」という日本語は間違ってはいませんが、似たような意味を持つ表現はほかにもたくさんあります。日常生活でも頻繁に使用される「出席する」という言葉が使われることもあれば、「列席する」「参列する」といった言葉づかいを聞いたこともあるでしょう。ニュアンス的には同じなので、どれを使ってもいいような感じもしますが、実はこれらの表現は微妙に違うのです。特に結婚式を主催する側は、これらの言葉の違いを理解して式に臨む必要があります。今回は、「結婚式に行く」という言葉を持つ「参列」や「列席」などの意味の違いや使い分けを紹介していきます。

 

列席とは?正しい使い方とシチュエーション


列席にはもともと、「列に連なる」「席に並んで座る」という意味があります。そして、現代では一般的に「式典や会議などに出席する」「たくさんの人がいる場所に一緒に加わる」といったニュアンスで使われることが多い傾向です。
つまり、結婚式における列席は「結婚式に出席する」という意味で利用することができるでしょう。しかし、「列席」は結婚式に関係する誰もが利用できる言葉というわけではありません。
結論を述べると、列席とは主にご新郎ご新婦やその親御様をはじめとした、主催者側が使う言葉です。
例えば、結婚式の最中では、わざわざ式に来てくれたゲストの皆様に対して、「本日はお忙しい中、ご列席いただきありがとうございます」「会社の上司にご列席いただいた」という使われ方をします。
また、結婚式の招待状を送る段階では、招待状に「ご列席いただければ幸いです」と記載するのも正解。逆に、「出席する」と似たような意味を持つ「参列」を主催者が使うのは間違いであり、結婚式ではできれば避けたい表現になります。それでは、「参列」はどのように使うのが正しいのでしょうか。

 

間違えると恥ずかしい!参列の正しい使い方は?


「参列」も「列席」同様に、結婚式などに参加をするというニュアンスを持った表現です。しかし、列席が主催者側が使用する言葉なのに対して、参列は結婚式のゲストが使う言葉という使い分けがあります。
例えば、代表的なものではご新郎ご新婦に列席してほしいと言われた側が、「ぜひ参列させていただきます」といったような使い方です。
または、出席した結婚式のことを第三者に話す際に、「先日参列した結婚式で」といった使い方をすることもあるでしょう。
このように、「参列」はあくまでも結婚式に招かれた側が使う表現なので、主催者側が「本日はご参列くださり、誠にありがとうございます」という表現は不正解なのです。
謝辞などで使ってしまうと恥をかいてしまうので、主催者が利用することのない言葉ということを覚えておきましょう。
また、ここで気をつけておきたいのが、「参列」という表現は結婚式よりも葬儀で利用されることが多いという点です。「結婚式に参列する」という言い回しは、言葉の意味的にもまったく問題ないですし、式に招かれたゲストが普通に使うことのできる言い回しです。
しかし、国語辞典の解説や用例などを見てみると、「葬儀に参列する」といった表現が用いられているケースのほうが多いということがわかります。そのため、一般的には「参列」と聞くと、弔事へ出席することを連想してしまう可能性も否めません。
結婚式は、おめでたい慶事なので結婚式に出席する際には「参列」の代わりに「ご出席させていただき、ありがとうございます」といった表現のほうが誤解を防ぐことができます。
このように、決して間違いではないですが、使う言葉によって相手の受け取る印象が異なるというケースもあるので、結婚式に臨む前には、正しい言葉づかいを身につけておいたほうがよいでしょう。

 

臨席と出席の意味は?使い方はどう違う?


「列席」や「参列」同様、結婚式などで利用されるまぎらわしい言葉として、「臨席」や「出席」が挙げられます。臨席は、あまり聞きなれないという人も多いかもしれませんが、出席は日常生活でもよく登場する言葉です。
それでは、「結婚式に出る」という表現に関しては、どのような違いがあるのでしょうか。
臨席も、式や会合などに出席するという意味を持っているので、列席と同じような意味で利用することが可能です。但し、列席が一般的なゲストの皆様に幅広く利用できる言葉なのに対して、臨席は使用する相手を選びます。
臨席は、もともとは天皇陛下や皇族をはじめとした高位の人に使われていた言葉です。そして、結婚式での臨席とは目上の人、もしくは社会的地位の高い人に対して使われます。
単純に結婚式に並んで出席する「列席」と比べると、「臨席」には結婚式に臨んでいただくというニュアンスが入るため、文字面からも何となく特別感があるような印象を持つのです。
例えば、目上の人に出席をお願いする際には、「ご多用中のこととは存じますが、なにとぞご臨席賜りたくご案内申し上げます」といった表現もよく登場します。
一方で、出席は「結婚式に出る」という表現の中では最も一般的で幅広く使われている言葉です。結婚式の招待状を作成する際には、「出席」と「欠席」という言い回しが利用されますし、基本的には誰に対しても使うことができるので便利な言葉だといえるでしょう。
主催者であってもゲストであっても、または相手が目上の人であっても、「出席」という言葉はオールマイティーな使い方が可能なのです。そのため、使用する表現に迷ったら、とりあえず「出席」を利用するのがよいでしょう。

 

結婚式での正しい使い方をマスターしよう


それでは、実際に結婚式では、「参列」「列席」「臨席」というまぎらわしいニュアンスを持つ表現をどのように使うのが正しいのでしょうか。
基本的には、一般のゲストに対しては、参列ではなく列席が使われます。例えば、「本日はおいそがしい中ご列席いただき、誠にありがとうございます」のような使い方であれば、まったく違和感がありませんし、きちんとした言葉遣いだとみなされるでしょう。
しかし、この「列席」の部分を「出席」に変えて「本日はおいそがしい中ご出席いただき」にしても、実はまったく問題がないのです。
普段から使い慣れている出席よりも、何となく列席のほうが丁寧だと感じるかもしれません。しかし、実際に結婚式の場では、どちらの表現であっても使うことができるのです。
一方、目上の人に対して、または地位の高い人に向けては、必ず「臨席」を使わなければならないというわけではありません。臨席は、天皇陛下にしか使用しないという考えを持っている人もなかにはいます。
もちろん、「臨席」を使っても間違いというわけではありませんが、なかにはふさわしくない言葉だと嫌悪感を抱くゲストもいるかもしれません。
スムーズな結婚式にするためには、軽々しく臨席という言葉を用いずに、列席を使ったほうが無難でしょう。

 

わからないときにはプロに相談して解決を


思い出に残る結婚式をきちんとしたものにするためには、式場選びや式までの段取りが非常に重要です。特に、式当日の動きや式の流れを把握しておくことは結婚式を成功させるのに不可欠でしょう。
同様に、式中の言葉の使い方もよい結婚式をつくる大切な要素のひとつになります。結婚式を主催する以上は、結婚式のマナーにのっとって正しい言葉を使いたいものです。
お礼のスピーチをはじめ、ご新郎ご新婦がゲストに向かって話さなければならない場面も出てくるので、あらかじめきちんとした言葉を身につけておくに越したことはありません。
そうはいっても、式で利用される言葉には普段の生活ではなかなか登場しない単語や、使い慣れないニュアンスもあるでしょう。
そんなときには、ウェディングプロデューサーや司会者などに相談してみるのも方法のひとつです。結婚式のプロであれば、適切な表現や言葉づかいも心得ているので安心できるのではないでしょうか。
言葉づかいだけではなく、結婚式に関してわからないことは迷わず相談してみましょう。